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夏の終わりに
第15章 欲求
イヤじゃない…なんて
……して欲しかったみたいじゃないっっ

玄関を飛び出すと、千里はドアにもたれてズルズルと座り込んだ。
恥ずかしさのあまり、顔が熱い。


手に触れたものに驚いて咄嗟にとった行動を、浩人がどう捉えたのか容易に想像が出来た。
出来たからこそ、さぁっと血の気が引いていき、千里はすぐにキッチンへ戻ろうとした。

花火に照らされた、苦しみに堪えて顔を歪める浩人の姿が脳裏を掠める。

四年前を、この四年間を、また繰り返す。
それだけは避けたかった。


浩人はテーブルにもたれて俯き、怒りを秘めた暗い表情をしていた。
千里は体が竦み、心が苦い後悔に染まって痛んだ。喉が渇いてヒリヒリとして、目の奥まで痛みだす。
奥歯を噛み締めて堪えたけれど、長く保ちそうになかった。


その結果、とんでもないセリフを言い捨てて、また逃げ出してしまった。
自分が何を考えているのか、理解出来ない。
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