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夏の終わりに
第16章 危機
北森家に逃げ戻りたくても、男達が立ちはだかり道を塞いでいる。
千里は気づかれないようにそっと背後を窺った。

刺激しないようにあしらって、無事に自宅へ辿り着くことは可能だろうか。頭の中で瞬時にシュミレーションしてみるけれど、上手く出来る気がしない。

迷っている間も、テッペーは徐々に近づいてくる。背後にも別の男が近づいてくるのを感じた。煙草とアルコールの臭いが鼻をつく。

「テッペーが遊んで欲しいんだって」

背後の男がにやついた声で話しかけてきた。

「優しくするからさあ、遊ぼうよぉ」

テッペーが笑う。
いやらしさを帯びた、下品な話し方だった。


彼は変わっていない。

しつこく何回も交際を申し込んできたあの時と、何も変わっていない。
あの時も、最後はこんな風に囲まれて―――、


千里は恐怖に青ざめて体を震わせた。
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