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夏の終わりに
第16章 危機
なけなしの勇気を振り絞って、なんとか笑顔を作った。
「もう遅いから……」
テッペーは少し考えるように首を傾げて千里を見つめた。
その反応を確かめるのも怖くて、千里は視線を逸らし、男達の間に出来た隙間を通り抜けようとした。けれど、すかさず行く手を遮られる。
「や…っ!!」
テッペーに腕を強く掴まれて、千里は咄嗟に叫んでいた。
次の瞬間には後悔し、そっと唇を噛みしめる。けれど、もう遅い。
耳元で、忌々しそうな舌打ち聞こえた。
「そんなに嫌がらなくてもよくね?」
別の男が肩に手を回してきて、耳たぶを舐められた。
全身に鳥肌が立ち、恐怖に神経がざわつく。
どうしよう……
千里はすがる思いで、北森家の灯りを見つめた。その光の中に、浩人がいる。叫んだら気づいてもらえる距離にいる。
それなのに、声が喉に張りついて、悲鳴をあげることもできない。
「もう遅いから……」
テッペーは少し考えるように首を傾げて千里を見つめた。
その反応を確かめるのも怖くて、千里は視線を逸らし、男達の間に出来た隙間を通り抜けようとした。けれど、すかさず行く手を遮られる。
「や…っ!!」
テッペーに腕を強く掴まれて、千里は咄嗟に叫んでいた。
次の瞬間には後悔し、そっと唇を噛みしめる。けれど、もう遅い。
耳元で、忌々しそうな舌打ち聞こえた。
「そんなに嫌がらなくてもよくね?」
別の男が肩に手を回してきて、耳たぶを舐められた。
全身に鳥肌が立ち、恐怖に神経がざわつく。
どうしよう……
千里はすがる思いで、北森家の灯りを見つめた。その光の中に、浩人がいる。叫んだら気づいてもらえる距離にいる。
それなのに、声が喉に張りついて、悲鳴をあげることもできない。