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夏の終わりに
第3章 再会
誰かに頼むか……

そうするべきのように思えて、浩人は助手席に投げ出していた携帯電話を手に取った。
しかし仲間のほとんどは村を離れている。残っている数人にしても、遠方だったり仕事中だったり……頼める人はいない。
第一誰かに頼んだとしても、千里がその男と二人きりになるなど浩人は想像したくもなかった。


あり得ないな……


導き出した結論に安堵と不安を滲ませながら、浩人は再び車を走らせる。


峠を抜けて最後のカーブを曲がると、開けた土地にまばらに点在する民家が見えた。
その遥か向こうに太陽に焼けた赤い屋根の駅舎を認めて、浩人の心臓は大きく音を立てて止まる。すぐにまた激しく鳴り始めて、背筋を冷たい汗が流れた。
冷房の効いた車内に冷やされた体は、感覚を失うほど凍えていた。

死刑執行台へ向かう気分を味わいながら、浩人はアクセルに足を乗せる。
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