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夏の終わりに
第17章 咆哮
距離を縮めるにつれて、円陣を組むように屈んでいる男達の姿が浮き彫りになってきた。そのうちの一人はベルトに手をかけ、今にもズボンを下ろそうとしている。

恐怖と憤怒に血がたぎり、胸の中が熱く重苦しくなっていく。


「く……っ!!」

浩人は奥歯を噛み締め、更に強く地面を蹴りあげた。


遠い。


遠すぎる。


男達の背中は、もう手が届きそうな距離にある。その僅かな距離に、浩人は焦りを覚えた。

一人が浩人に気づき、顔をあげる。しかし浩人の意識が捉えたのは、その男の驚いた気配ではない。

男が顔をあげたことで、羽交い締めにされている女性が僅かに見えた。女性の艶やかな髪が、暗闇に紛れた光に反射している。


ちぃ…っ!


浩人は荒々しく吼え叫ぶと、男達が潜む闇の中へと飛び込んだ。
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