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夏の終わりに
第17章 咆哮
中途半端にズボンを下ろして一物を取り出している男の後ろ襟を掴み、浩人は渾身の力を込めて殴りかかった。男はズボンに足を取られ、瑞々しく育った大根の上に無様に倒れた。

「ああ?なんだ、てめぇ!」

誰かが低く唸り、高く土を盛り上げた畝に足を取られながら立ちあがる。

自分が殴った男がテッペーだと気づき、浩人は硬く握りしめた拳を振り下ろした。すぐに振り返り、背後に迫っていた男の腹部も殴る。

「この野郎っっ!!」

千里の足を押さえていた男が立ちあがり、手を振り上げた。その手の中で、ナイフが冷たく光る。

浩人は恐怖に震えたが、それは男が自分に切りつこうとしている怯えではなかった。
男達はナイフをちらつかせ、千里を震えあがらせていたのだ。もしかしたら、傷を負わせた後かもしれない。

「……っ!!」

ナイフを振り上げる男の腕を掴み、浩人は再び吼えた。
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