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夏の終わりに
第18章 安息 ①
陶酔させるほど艶めかしく美しい体に、痛々しい色とりどりの痣が塗りつけられている。
浩人はソープを絞り出すと、ボディスポンジを使うのもわずらわしく千里の肌をこすり始めた。
そうすれば痣が取れると信じているかのように、強く、何度も、こすり続ける。

「…っ、ぁ……っ」

首をすくめて痛みを堪えていた千里が声を漏らすと、浩人は火傷でもしたかのようにビクリと手を離した。

「…ごめんっ」

千里は体を硬くさせたまま目を伏せて、弱々しく首を左右に動かす。

「……ごめん」

浩人はもう一度同じ言葉を繰り返して、一歩後ろに下がった。


守れなくて、ごめん。

触れてしまって、ごめん。


何度も千里を襲い、自分もテッペー達と変わらないのに、そんなことも忘れて千里が自分のものであるかのように扱っていた。

「………ごめん」

それ以外に、言葉が出て来なかった。
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