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第25章 エピローグ

「もう、しっかりしてよ」

美也子はテーブルに広がった茶しぶきを拭き取り、新しいお茶を康人に差し出した。

「ありがとう…、」

感謝を口にしながらも、康人は恐る恐ると二人を見比べる。

聞き間違い…？

そう思いたいが、二人は確かにそれらしい言葉を口にした…気がする。

「…無事に、妊娠してくれるかしら」
「ぐ…っ」

「あの子に、そんな甲斐性あるのかなぁ…」
「あ、あの…っ、美也ちゃん？ななななな…っっ」

首を傾げながらも、嬉しそうにダイニングへ向かう妻を呼びとめて、しかし康人は言葉を詰まらせた。

二人は一体、何の話をしているのだろう。

「なあに？」

振り返る美也子は、いつになく純粋無垢な笑顔を康人に見せてくれる。

「康人さん、どうしたの？落ちついて」

一緒に振り返った千穂が、不思議そうに首を傾げた。