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夏の終わりに
第4章 沈黙
飢餓感を誤魔化し、欲望を打ち消そうとしても、勢いは止めることなく下半身に血が集まっていく。
浩人は焦り、位置を正すために小さく動いて足を置き直した。


ジーンズを履いてきて良かった。
でなければ、ちぃにバレてあっという間に嫌われる。

ただでさえ嫌われているのに……


ありがとうと言われたこともそうだが、浩人は再び千里と話が出来る日が訪れるとは思ってもいなかった。
あんな酷い仕打ちをしておいて、千里が自分に微笑みかけ、会話を許してもらえるなど思えるはずがない。

だからこそ、駅舎のロータリーで千里と笑い合う直前まで浩人は怖れていた。
千里の性格からしてあり得ないが、仮に刺されたとしても悲痛に苦しむことさえ許されないと覚悟もしていた。

そこまで覚悟していたはずなのに、心が緩んだ途端に感情の全てが四年前のあの日へと遡っていく。
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