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夏の終わりに
第5章 約束
「出掛ける予定ある?どこへでも車出すよ」

千里はまだ動揺していたが、浩人は構わずに尋ねた。用意されている朝食と、額へのキスに心地良さそうに微笑んだ千里が、浩人を後押ししていた。

「……お買い物、」

「分かった。ご飯食べてしまうから待ってて。涼しいうちに行こう」


千里は何が起こっているのか理解出来なくて、キスされた感触が残る額に触れながらなんとか頷いた。


川北のスーパーへ向かう車中で、二人は変わらず会話らしい会話をしなかった。時々、浩人の表情が険しくなることもあったけれど、不思議と千里は苦痛ではなかった。

浩人が朝食を摂っている間は和気藹々と話が出来たし、その後も浩人は優しく、何かと気遣ってくれた。玄関から車へ向かう短い距離も、背中に手を添えて傍にいてくれた。
それ以上の幸せを望むのは贅沢に思えるほど、千里は嬉しかった。
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