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夏の終わりに
第5章 約束
スーパーの自動ドア横に貼られているポスターを見て、浩人はギクリとして刹那足を止めた。
暗い背景に浮かぶ鮮やかな大輪は過去の罪を責め立て、千里が隣にいてくれる幸せが脆く儚いものだと思い出させる。

浩人はポスターから顔を逸らして店内に足を踏み入れたが、その隣から千里の姿が消えていた。不安に駆られて振り返ると、千里は例のポスターの前で立ち止まっている。

ちぃ……


浩人は手を強く握りしめて胸の痛みに耐えた。
あの出来事を二人が話し合ったことはなかった。千里が何故誰にも言わなかったのか。四年間、何を思ってきたのか。再会した時、どうして笑ってくれたのか。……尋ねるのも怖かった。

けれど、二人の関係を築き直すためには避けていてはいけないのだろう。

浩人は大きく深呼吸して、千里の傍へ、ポスターの前へと歩き始めた。
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