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夏の終わりに
第5章 約束
懐かしむようにポスターを見ていた千里は、浩人が近づいてきたのに気づいて振り返り微笑んだ。
「明日だって」
浩人は驚いて千里を見つめ、ポスターへと用心深く視線を移す。
「観たい……の?」
あの花火大会なのに?
心の中でそう続ける。
「うん。…………、」
千里は何か言いたそうに口を開き、狼狽える浩人の横顔を気遣うように口許を綻ばせた。
「行こうか……」
もう一度、一緒に観ても良いのなら。それが許されるのなら……。
「うんっ」
千里は喜びを噛みしめるようにはにかんで、浩人の手を持ち上げると小指に自分の小指を絡めた。
「約束、」
浩人は胸を締めつけられるような傷みを覚えて、ぐっと息を飲み込んだ。
揺らされているのは繋がった手だけのはずなのに、久し振りに見た千里のあどけない仕草に視界がグラグラと揺さぶられていた。
「明日だって」
浩人は驚いて千里を見つめ、ポスターへと用心深く視線を移す。
「観たい……の?」
あの花火大会なのに?
心の中でそう続ける。
「うん。…………、」
千里は何か言いたそうに口を開き、狼狽える浩人の横顔を気遣うように口許を綻ばせた。
「行こうか……」
もう一度、一緒に観ても良いのなら。それが許されるのなら……。
「うんっ」
千里は喜びを噛みしめるようにはにかんで、浩人の手を持ち上げると小指に自分の小指を絡めた。
「約束、」
浩人は胸を締めつけられるような傷みを覚えて、ぐっと息を飲み込んだ。
揺らされているのは繋がった手だけのはずなのに、久し振りに見た千里のあどけない仕草に視界がグラグラと揺さぶられていた。