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夏の終わりに
第6章 守護
守るよ。
……今度こそ。


千里を抱き寄せたまま、浩人は心の中で強く誓う。


しかし、その誓いよりも強い感情が徐々に頭をもたげる。

香料やシャンプーの匂いとは違うなんとも言えない甘い香りが、飢餓感を煽り立て興奮を呼び起こす。ほんの少し顔を屈めただけで届いてしまうほど近くにある白い項を、浩人は食い入るように見つめた。

ゃ…ばいっ

強く目を閉じて、千里の肩を抱く手に力を込める。名残惜しく引き離し、僅かに潤んだ褐色の瞳にぎこちなく微笑み掛けた。

「……そろそろ、行こうか」

千里は恥ずかしそうに口許を綻ばせて頷いた。

だから、ヤバいって。

愛おしくて抱きしめてしまいたい衝動を奥歯で噛み殺し、座り直してシートベルトを締める。
男達がカラオケを止めてこちらを見張っていないか、注意深く窺いながらフィガロを走らせた。
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