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夏の終わりに
第2章 帰郷
怒りよりも、どうやって家に帰れば良いのか―――悲壮感が勝っている。

二十分ほど前にロータリーの端に止まっていたバスは、千里が乗らないと分かるとさっさと出発していった。
次のバスは、当分の間やって来ない。

最もそのバスに乗ったところで村からずっと離れたところを通過して行ってしまうため、下車した後はこの炎天下を四十分以上は歩かなければならない。

無理っ!

想像しただけで目眩がしてきた。

誰かに迎えを頼みたくても、隣家の北森美也子は千穂と共に旅行中。
残る方法は……

考えてみても良い案は浮かばない。

ちらりとタクシーのことが脳裏を掠めたけれど、日頃利用したことのない千里にはどれくらい高くつくのか想像も出来なくて、タクシーを呼ぶ気にはなれなかった。

お母さんが帰って来いって言ったのに……

千里は途方に暮れた。
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