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夏の終わりに
第7章 愛撫
千里はそっと唇に指をあてた。浩人に優しくキスされた感触がまだ残っているようで、熱い。


引き戸から覗く廊下は、月明かりに僅かに照らされ、ひっそりと静まっている。
耳を済ませても聞こえてくるのは虫の音ばかり。

浩人は会いにきてくれないのだろうか……。
千里は寝返りを打ち、廊下から顔を背ける。


花火を眺めながらキスをされた時は、確かにお互いの想いが重なり合ったはずなのに、あっという間におかしくなってしまっていた。
ボタンをかけ違えたように二人はすれ違い、千里には浩人の想いが分からない。


予感も外れてしまったみたい。

それでも、もし……


繋がった手の温もりを、抱き寄せてくれた暖かさを思い出しながら千里は思う。


もし、ヒロ兄ちゃんがまだ私を想ってくれているのなら、今度こそ……
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