この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
夏の終わりに
第8章 白紙 ①
ずっと兄同様に慕ってきた男が、その信頼を裏切り、昨夜も就眠中に自分を凌辱していたのだと知ったら、千里はどんなに衝撃を受けるのだろう。
その純潔な瞳に、どれほどの拒絶が浮かぶのか―――
幼稚で、一方的で、つくづく醜く卑劣な人間だと自分を蔑みながら、千里にも同じように侮蔑されたらと思うと、正気ではいられない。
朝の清々しい明かりの中で、千里がテーブルに朝食を並べていく。
その様子があまりにも神聖なものに思えて、浩人は目を細めてたじろいだ。
ほうれん草の和え物と玉子焼き、煮物、浅漬け。そこに白身魚の混ぜご飯が並び、具だくさんの味噌汁が運ばれてくる。
「……ヒロ兄ちゃん?」
二人分の朝食を並べ終えた千里が、エプロンを外しながら首を傾げた。浩人はぎこちなく微笑んで、新聞を元の位置に戻した。
その純潔な瞳に、どれほどの拒絶が浮かぶのか―――
幼稚で、一方的で、つくづく醜く卑劣な人間だと自分を蔑みながら、千里にも同じように侮蔑されたらと思うと、正気ではいられない。
朝の清々しい明かりの中で、千里がテーブルに朝食を並べていく。
その様子があまりにも神聖なものに思えて、浩人は目を細めてたじろいだ。
ほうれん草の和え物と玉子焼き、煮物、浅漬け。そこに白身魚の混ぜご飯が並び、具だくさんの味噌汁が運ばれてくる。
「……ヒロ兄ちゃん?」
二人分の朝食を並べ終えた千里が、エプロンを外しながら首を傾げた。浩人はぎこちなく微笑んで、新聞を元の位置に戻した。