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夏の終わりに
第8章 白紙 ①
苦しくてご飯が喉を通らず、味もよく分からない。

せっかく、ちぃが作ってくれたのに。
一緒に食事が出来るなど、後何回許されるのか分からないのに。
勿体ない。

一口食べては味噌汁で流し込み、箸を止める。


浩人は自分が重い溜め息を吐いていることにも気づかないまま、玉子焼きをつついてぐちゃぐちゃにさせていた。

「……美味しく、ない?」

千里の不安げな声に我に返り、千里を見つめ、手元の玉子焼きを見やる。

「い、いや、美味しいよ」

言ってすぐに玉子焼きを掻き込んで、味噌汁で飲み込み、そのままその味噌汁も食べ干した。

「……ごめん、考え事をしてたんだ。その、」

必死になって言い訳を考える。

そして、ひとつだけ、自分以外にも気掛かりなことがあると思い出した。

「なぁ……」

浩人は気遣うように千里の目を真っ直ぐに見つめた。
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