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夏の終わりに
第2章 帰郷
千里と“ヒロ兄ちゃん”こと北森浩人は仲の良い幼馴染みだった。

間に畑を挟んで二十メートルほど離れているけれど家が隣同士で、お互いの母親である千穂と美也子もまた仲の良い幼馴染みだと言うこともあって、二人は兄妹のように育った。

当たり前のようにお互いの家を行き来して、当たり前のように千里はいつも浩人の後を追いかけていた。
浩人が大学へ進学して村を離れていっても、それは変わることはなかった。

変わったのは、四年前。。
二人で花火を観に行ったあの日以降、浩人は滅多に帰省しなくなって千里を避けるようになった。
千里も浩人を避けて、大学に進学してからはほとんど村に帰っていない。


―――ヒロ君に全部頼んでくれたから。


本当は会いたくないよね……。
ヒロ兄ちゃん、困ってるよ……ね。

千里は顔を覆って、溢れそうになる涙を隠した。
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