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第9章 白紙 ②

後頭部に回された大きな手が千里の拒否を抑え込む。
再び瞼を舐められて、千里は小さく息を漏らした。

｢あ、あの……んっっ……｣

重ねられた唇に驚く間もなく強く吸われて、浩人の舌が千里の歯をなぞり更に奥へと侵入してくる。
ゾクゾクと鳥肌がたつような感覚が沸き上がり、その優しい舌使いに溺れてしまわないように、千里は浩人の汗ばんだ腕にしがみついた。

｢……っふ、ぁ……っん……｣

浩人の口が角度を変える一瞬に息を吸い込み、また舌を絡ませ合う。

｢……んぅ…っはぁ…｣

息苦しくて体が悲鳴をあげている。一度は止まった涙が頬を流れていった。

浩人の腕にしがみついていた両手を広い肩へと巻きつかせる。千里自身も強く抱きしめられていた。
千里の腰をまさぐる手がシャツを捲る。熱を帯びた大きな手が直に背中を撫でると、千里は大きく体を震わせた。