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夏の終わりに
第10章 休息
豚バラの煮込みを大皿に盛りつけると、浩人は満足感げにテーブルを見渡した。野菜のちらし寿司と、千里の真似をして作った具だくさんのスープ。千里の手料理には敵わないがまずまずの出来だ。
「ちぃ、出来たよ」
言いながら冷蔵庫を開けて、冷やした麦茶を取り出す。
外はまだ明るく、日が傾く気配もない。風通しに開けた窓からは蝉時雨と共に山を撫でた風が入り込んでいた。暑いと思うほどではないが、湿気を帯びた熱が肌にまとわりついてくる。
「食事の間だけでも、エアコンつける?」
返事はない。
「……ちぃ?」
リビングを見やって、浩人は口元を綻ばせた。一度は出した麦茶を冷蔵庫に戻し、足を忍ばせてソファに近づく。
「ちぃ?」
もう一度、今度は囁くように呼びかけた。
千里はぐっすりと眠っていて、変わらず返事をする気配がなかった。
「ちぃ、出来たよ」
言いながら冷蔵庫を開けて、冷やした麦茶を取り出す。
外はまだ明るく、日が傾く気配もない。風通しに開けた窓からは蝉時雨と共に山を撫でた風が入り込んでいた。暑いと思うほどではないが、湿気を帯びた熱が肌にまとわりついてくる。
「食事の間だけでも、エアコンつける?」
返事はない。
「……ちぃ?」
リビングを見やって、浩人は口元を綻ばせた。一度は出した麦茶を冷蔵庫に戻し、足を忍ばせてソファに近づく。
「ちぃ?」
もう一度、今度は囁くように呼びかけた。
千里はぐっすりと眠っていて、変わらず返事をする気配がなかった。