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 縛師-Ⅰ-告られてから『ごっこ』の終わりまで
第1章 告られた

 だから俺は、俺の内面の核に至るまで、段階的にバリヤーを設定してある。

 第1段階は「知ってる人」だ。
「オス。山下、お前英語の発音スゲーうまいけど、なんでよ」
こんな感じの、挨拶や軽い質問をしたり、されたりだ。


 第2段階は「友達」だ。
「リョウ君。(或いはリョウ)英語の試験、対策してる?」
「範囲が絞れねえ。ちょっとやべえかも」
「教えよっか」
「理工教えるからチャラな」
 そう。どこにでもあるこんな会話の相手のことだ。

 そして第3段階。
 告った相手を第4段階に進めるかどうかのフィルターにかける。
 
 「スズ。サンキュな。お前がそう言ってくれたから言うんだけど、俺もお前は好きだよ」
 俺は自虐的にクッと笑う。

「だけどお前は、本当の俺のことを何も知らないだろ。それを知ったらお前は飛んで逃げるはずだ。でも、折角告ってくれたのだから一つだけ俺のことを教えてやる」

 スズは「なになに。それは聞いておかねば」と言いながら俺に向かい合って立ち止まった。

「実は俺、サディストで変態なんだ」

「うわっ。すごいね。自分の事を変態って言って交際断るやつ初めて見たよ」

「噓じゃねーし、断ったんでもない。ただ俺はお前が思ってるような人間じゃねーからさ。今の関係のままだったら、もしかして卒業するまでは続くんじゃね?って思うんだよね」

 俺はスズの前に指を2本立てる。

「コード2。俺のバリヤーを通過するための質問がある。1年のとき、お前達と知り合う少し前、俺は1ヶ月だけ付き合った女子がいた。別れたあとそいつが色々な事を言っているが、スズはそれを聞いた事があるか」
 

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