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貴女に溺れて彷徨う
第5章 見返りという甘い汁


「ァンッ……!!」


 ぐちゅ……くちゅくちゅ…………


 ひなたの嬌音に被さって、あたしの喉も切なげに鳴る。睦は尻に塗りたくったチョコレートを舐め取ると、あたしの裏ももや臀部を吸い上げ、撫で回し、割れ目を指でなぞり始めた。突き動かされるようにして、ひなたへのあたしの愛撫も激しさを増す。


「あぁっァッッ……──っ。はぁっ、こういう、こと、してるとマジでセフレだね、あたし達……」

「良いじゃん。何でもありの友達ってことで」

「まぁねー。ひなたも可愛いし。……はぁっ……」

「そろそろ挿れるよ。思いっきり、鳴いてね……莉世」


 ずぶずぶっ…………


 睦の指があたしを尻から貫いた。性器を犯されるのとは違う快楽が昇りつめて、にわかにひなたを抱いているのも失念するほどの恍惚が、頭の天辺から足先にまでほとばしる。


「ァンッ……ぁあっ……」

「あぅっ!はぁっ、ァッッあん!……」


 あたしはひなたを蹂躙して、睦に蹂躙されながら、昼間のことを思い出している余裕もなくした。ひなたもあたしも理性やら羞恥やらをとっくに手放し、淫らな楽器になり果てていて、ほぼ同時に気を遣った。

 キスをねだったひなたの唇を塞ぐ。睦に二度目を求めるより彼女とのキスに食いついたあたしは部屋着を整えるのも後回しにして、野生の顔をむき出しにした彼女の舌を絡め取る。


「んんっ、はぁ、莉世さん……ハァッ……」

「睦……やっぱ、ひなた可愛いよ」

「どんなヤツにも手渡せないね」


 そう言って、今度は睦がひなたにキスする。


 きっと他意はなかった睦の呟きに、あたしは一気に現実に引きずり戻された思いがした。


 ひなたを誰にも渡したくない。


 それは睦のあまりに当たり前な本心で、あたしからしても同じだ。けれど生きている以上、人は変わる。あたしの両親の軋轢がどうしようもならなかったのと同様で、みなぎが配偶者との間に暗い影を落としていたのと同じだ。もとよりあたしの前からいなくなった彼女は今、どこにいる?
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