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渇いた心に水を注ぐ
第11章 働き方改革〜圭人
真由子ちゃんが温かい焙じ茶を淹れてくれて、
のんびり飲みながら溜息をついた。


「なんか長い1日だったね。
頭の中がぐちゃぐちゃになりそう。
仕事行って、
真由子ちゃんの元旦那さんの手帳を2人で読んで、
梨香子に会って、
叔父さんの処に行って…
髪切ってスーツ買って、寿司喰って…。
それで明日は真由子ちゃんのご両親に挨拶だな」


「大丈夫?
なんか…疲れた顔してる。
来週にする?」


「やだ。
絶対に明日、行って、
結婚認めて貰うから」と言って、
湯呑みを置いて、
そっと真由子ちゃんを抱き寄せて額にキスをした。


真由子ちゃんはクスクス笑いながら、
「お髭、ないから、
くすぐったくなくなったのね?」と言う。


「なんか、変?
似合わない?」


「若くなりましたよ。
それに…」


「それに、何?」


「圭人さん、すごくお祖母様に似てて、
ハンサムなのね?。
おじさまにも似てる」と笑う。


「明日、俺、大丈夫かな?
頼りないよな。
ヘアメイクアーティストって、
何だよ?って感じだし、
次の仕事は税理士と公認会計士の見習いだよ?
真由子ちゃんのお父さんって…
外務省だっけ?」


「んー。
単なる公務員ですよ?」


「お母さんは?」


「専業主婦です」


「公務員か。
きっと、きちんとされてて、
ヘアメイクしてるオトコとか、あり得ないって言われそうだから、
やっぱり叔父さんの処で働くのは正解だよね?」


「本当に…今のお仕事、辞めちゃって良いの?」


「うん。
全然未練はない。
それと…真由子ちゃんが気にならないなら、
その仕事、梨香子、紹介しようかと思ってる」


「えっ?」


「前に俺がインフルエンザに罹った時に代打を頼んだことあるから、
今のクライアントは知らない仲ではないし」


「それなら、安心ね?」


「引き継ぎするから、一緒に梨香子と出掛けたりするけど?」


「気にならない。
だって、圭人さん、
私をお嫁さんにしてくれるんでしょ?」


「っていうか、
本当に俺で良いの?
俺は真由子ちゃんと結婚したいけど、
真由子ちゃんは俺で…」


真由子ちゃんが俺にキスして言葉を止めた。

少しずつ深いキスをしながら、
強く抱き締め合うと、

「はぁ。
息が出来ない」と言って、
真由子ちゃんが身体をそっと離した。
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