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渇いた心に水を注ぐ
第11章 働き方改革〜圭人
久し振りに訪れた叔父さんの家は、
グランマの家と雰囲気や空気が似ている。

叔母さんがクッキーを焼いてくれてて、
真由子ちゃんは「お手伝いします」と言って、
一緒にキッチンへ行ってしまって、
楽しそうな笑い声が聴こえてきた。


「真由子さんは、本当に優しくて素敵なお嬢さんだね?」と、
叔父さんが溜息混じりに言うと、

「だから、他のヒトに盗られないようにしっかりしなさいって、
私、葉っぱを掛けたのよ?」と、
グランマはすました顔で言う。


真由子ちゃんと叔母さんが紅茶のセットや焼き菓子なんかを楽しそうに運んできてくれて、
カップに注ぎながらグランマ、叔父さん、叔母さん、俺の順番で優雅に紅茶を勧めてくれる。

叔母さんと真由子ちゃんが高校まで同窓生だということで、
話が盛り上がっている。
真由子ちゃんのお母さまも同窓生で学年は違うけど知り合いだったことも判る。

グランマが、
「あら、それじゃあ、私とも縁があるわね?
あの女学校には大昔、英語を教えに行ってたもの」と笑う。



「それで、どうだったんだ?」と叔父さんに訊かれて、
俺と真由子ちゃんは姿勢を正して、
真由子ちゃんのご両親に結婚を認めて貰ったことを報告した。

真由子ちゃんが恥ずかしそうに指輪を見せると、

「なんだ。
もっと大きいダイヤを買ってあげないと!」と、
グランマみたいなことを言うので、
みんなで声を上げて笑ってしまった。


そして、叔父さんは、
「これは前から考えていたんだけど…」と真剣な顔で話を始める。


「圭人は次男だろう?
私のところには子供を授かることが出来なかった。
圭人が…、いや、圭人と真由子さんが嫌でなければ、
うちの養子にならないか?
これはずっと前からお義兄さんと姉さんには話をしていて、
大学を卒業して、
私の事務所に入る時にそうしようと言っていた。
勿論、圭人の意思を確認した上でって話をしていた。
でもちょうど…。
その。
圭人は電撃的に結婚して、
事務所も辞めることになってしまったから、
立ち消えになってしまったんだ。
ちょっと時期は遅くなったけど、
私の事務所に改めて入ってくれるこのタイミングで、
鈴木の家を出て、養子にならないか?
いや、別にこの家に入って同居してくれって訳じゃないよ?
ただ、ずっとあの家では、窮屈そうだなと思ってな」
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