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渇いた心に水を注ぐ
第15章 元実家のお家騒動〜圭人
「返すとは…?
一体、何を仰っているんですか?」と、
お父さんが静かに言うと、
ヒステリックな声で母親が大声を出した。
「文字通り、返してってことですよ。
養子縁組解消してくださいってこと」
「まあまあ、一体何なの?
大きい声を出さないで?」と、
グランマは相変わらず英語で話す。
オヤジは疲れ切った顔をしているようだった。
「どういうこと?」と俺はオヤジに言うと、
溜息をつきながら話し始めた。
兄貴の処にようやく子供が出来て、
喜んでいたら、
どこから見ても黒人とのハーフの赤ん坊が産まれてきたという。
絵美さんを問い詰めると、
母のエステの宣伝で使っていた男性モデルと出来てしまって、
産まれてきた子供はどう考えても兄貴との間の子供ではなかったということだった。
そして、驚くことに絵美さんは署名捺印をした離婚届を置いて、
赤ん坊と一緒に家を出てしまったそうで、
連絡もつかないという。
兄貴は塞ぎ込んでしまって、
病院の仕事にも出れなくなっているそうだ。
「別にこれから医学部に行けなんて言わないわ?
ほら、事務局長とかで病院に入って、
経営者になれば良いじゃない?
真由子さんのご親族には、
厚生労働省の高官の方もいらっしゃるそうだし…」と母親が続ける。
「あの…親族とは、
特に仕事上のお話をすることはありませんし…」と真由子ちゃんは静かだけどしっかりした声で言う。
「それに、私の両親も、
圭人さんのご両親様は、こちらのお父様とお母様と認識しております」
「今更、何を言ってるのかも、
良く判らないよ。
兄貴が居れば良かったんでしょ?
俺、別に要らないって言われ続けてたし」
「困難な時だからこそ、
大切な長男の賢人を支えてやるのが、
親の務めじゃないのか?」と、
グランパが言うと、
母親は唇を震わせるようにしたかと思うと、
いきなり席を立って出て行ってしまった。
オヤジも立ち上がって、
何か言いたそうな顔をしたけど、
そのまま頭を下げて後を追った。
「私…酷いことを言ってしまったでしょうか?」と真由子ちゃんが言うと、
「いや。
よく言ってくれたと思ったわ?」と、
グランマは真由子ちゃんをハグした。
一体、何を仰っているんですか?」と、
お父さんが静かに言うと、
ヒステリックな声で母親が大声を出した。
「文字通り、返してってことですよ。
養子縁組解消してくださいってこと」
「まあまあ、一体何なの?
大きい声を出さないで?」と、
グランマは相変わらず英語で話す。
オヤジは疲れ切った顔をしているようだった。
「どういうこと?」と俺はオヤジに言うと、
溜息をつきながら話し始めた。
兄貴の処にようやく子供が出来て、
喜んでいたら、
どこから見ても黒人とのハーフの赤ん坊が産まれてきたという。
絵美さんを問い詰めると、
母のエステの宣伝で使っていた男性モデルと出来てしまって、
産まれてきた子供はどう考えても兄貴との間の子供ではなかったということだった。
そして、驚くことに絵美さんは署名捺印をした離婚届を置いて、
赤ん坊と一緒に家を出てしまったそうで、
連絡もつかないという。
兄貴は塞ぎ込んでしまって、
病院の仕事にも出れなくなっているそうだ。
「別にこれから医学部に行けなんて言わないわ?
ほら、事務局長とかで病院に入って、
経営者になれば良いじゃない?
真由子さんのご親族には、
厚生労働省の高官の方もいらっしゃるそうだし…」と母親が続ける。
「あの…親族とは、
特に仕事上のお話をすることはありませんし…」と真由子ちゃんは静かだけどしっかりした声で言う。
「それに、私の両親も、
圭人さんのご両親様は、こちらのお父様とお母様と認識しております」
「今更、何を言ってるのかも、
良く判らないよ。
兄貴が居れば良かったんでしょ?
俺、別に要らないって言われ続けてたし」
「困難な時だからこそ、
大切な長男の賢人を支えてやるのが、
親の務めじゃないのか?」と、
グランパが言うと、
母親は唇を震わせるようにしたかと思うと、
いきなり席を立って出て行ってしまった。
オヤジも立ち上がって、
何か言いたそうな顔をしたけど、
そのまま頭を下げて後を追った。
「私…酷いことを言ってしまったでしょうか?」と真由子ちゃんが言うと、
「いや。
よく言ってくれたと思ったわ?」と、
グランマは真由子ちゃんをハグした。