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渇いた心に水を注ぐ
第16章 狂気から静寂へ〜賢人
翌日の午前中、真由子さんは病院の方に来てくれた。


「あれ?
圭人は?」


「やだ。
子供じゃないので、
付き添いなんて…」と笑う。


首筋の傷を診て、
薬を塗り替えてガーゼも交換する。


「本当に申し訳なかった。
これ、やっぱり傷痕が少し残りそうだな」と頭を下げると、
「スカーフとか、お洋服でも隠れるし、
大丈夫ですよ」と笑う。


看護師が隣の部屋に下がるのを待って、
「洋服、どこで買えば良いのか判らなくて」と言うと、
真由子さんは声を上げて笑った。


「まあ!
お兄様ったら!
昨日のは冗談ですよ?
あまりにも空気が重たかったから…」


「いや、お詫びに洋服も、
首に巻くスカーフも買いたいよ。
一緒に買い物に行って、
好きなのを選んで欲しいけど、
圭人が怒りそうだよな?」


「そうですね」と、
真由子さんはクスクス笑う。



「お洋服のことは横に置いておいて、
もうすぐ、お祖父様達のお家が完成します。
私達も同居しますから、
遊びにいらしてくださいね?」


「えっ?
良いの?」


「えっ?
どうして?
だって、ご兄弟でしょ?
お祖父様達にしてみたら、
お孫さんでしょ?
私も…、
ご不快でなければ…、
また遊びに立ち寄らせてくださいね?
賢人さんのお父様やお母様とも、
ほとんどお話しをしたことないので…」


ドキンと心臓が高鳴ってしまった。

話の流れで名前で呼ばれただけなのに、
馬鹿みたいに心臓がバクバクしている。


パソコンのカルテを見ながら、
少し震える手でエンターキーを押すと、
プリンターが紙を吐き出す音がする。

看護師がそれを隣の部屋からピックアップして持って来てくれた。



頭を下げて診察室を出る真由子さんを、
椅子に座ったまま見送りながら、
本当に今後、
お互いの家を行き来したり出来るんだろうか?
と、ぼんやり考えてしまった。

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