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渇いた心に水を注ぐ
第3章 セカンドコンタクト〜圭人
俺に押し切られる形で、
その後、夕食に行くことになった。


仕事じゃない、女の子との飯は、
本当に久し振りだった。
まして2人きりとかは何年振りだろう?


「何、食べたい?」と訊くと、
「好き嫌いもアレルギーもないので、
圭人さんが食べたいもので…」と彼女は言う。


それで、近くの和食屋に行った。

個室でお任せにして、
俺は少しだけ日本酒を呑んだ。
彼女はお酒が飲めないと言うので、
温かい緑茶を出して貰う。


箸づかいも食べ方も綺麗で、
育ちの良さを感じた。

歩いても程近い女子校でフランス語を教えてること。
そこの学校に幼稚園から高校まで通っていたこと。
大学は四谷だったことを少しずつ話してくれた。


「俺、クォーターなんだけど、
真由子ちゃんも?」と訊くと、
「はい。
母方の祖母がフランス人です」と言う。

「俺は、母方の祖母がアメリカ人。
だから、ほら。
瞳の色が薄いんだよね?」と言うと、
彼女は覗き込むように俺の瞳を見るので、
お互いに吸い込まれそうな気持ちがしてしまう。


「綺麗な色ですね?
お髭、無かったら、
物凄くモテそうですね?
あ、ごめんなさい。
お髭あっても、モテますよね?」と笑う。

「真由子ちゃんも、モテるでしょ?」と言うと、
首を横に振った。




「遅くなるといけないから」と会計をして、
「近くまで送るよ?
暗いし危ないから」と言って、
店を出てのんびり俺の店の方向に歩いた。

「あの…大丈夫ですから」と言うので、
「家、特定されるの嫌だよね?
でも、この先、住宅街で人通り少なくて心配だから。
じゃあ、タクシーで帰って?」

「タクシー乗るほどの距離じゃないんです」

「じゃあさ、ワンブロック手前まで送らせて?
家は判らないようにそこで止まるから」と言うと、
「じゃあ、送ってください」と笑う。


横に並んでゆっくり歩いた。
何しろ身長差があるから、
それでも彼女はちょこまかと少し急いで歩いてるみたいで、
それも可愛らしかった。


立派なマンションの前で立ち止まって、
「ここです」と言った。

オートロックで、
中にはコンシェルジュも居そうな感じだった。


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