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渇いた心に水を注ぐ
第4章 サードコンタクト〜真由子
「あれ?
真由子ちゃん、もう出てる?
何処に居る?
俺、風呂に入ってたら腹減って来ちゃった」と子供みたいな声で言う。

「えっと…お部屋に居ます」

「ちょっと外で軽くなんか食べる?
部屋に入っても良い?」

「勿論です」
と言うと、5分後位に圭人さんは部屋に戻ってきた。


「ん?
あれ…?
真由子ちゃん、風呂、入った?」と言われてしまって、
ちょっときまり悪い顔をしながら首を横に振った。


「そっか。
取り敢えず何か食おう」と言って、
車のキーを持った圭人さんに、
お部屋の鍵を返した。


「夜が和食だろうから、
パン屋とかで良いかな?」と言って、
老舗のパン屋さんに連れて行ってくれる。


お宿に戻ると、
車の後ろからゴソゴソと荷物を取り出して、
トートバッグに入れてる。


「それは?」

「ん。コーヒーだよ。
1人で良くキャンプするから、
豆とか諸々。
カップは部屋にあるかな?
いや、なんか湯呑みしかなさそうだな」と言いながら、
マグカップとかもバッグに入れていく。


「部屋でコーヒー淹れて、
パン喰おう。
俺、コーヒーは淹れられるから」と言う。


お部屋の中で圭人さんはコーヒー豆をゴリゴリと挽き始めるので、
私はお湯を沸かした。

圭人さんが丁寧に淹れてくれたコーヒーをのんびり飲みながらパンを食べた。


「コーヒー、美味しい!
でも、熱くて…」とマグカップに息を吹きかけると、
「真由子ちゃん、猫舌なんだね?」と笑って、
大きく口を開けてパンをあっという間に平らげてしまう。

「あ、ごめん。
仕事柄、早食いでさ。
夕食は、真由子ちゃんのペースでのんびり食べるから」

「私は食べるの遅くて…
なんでもゆっくりで、ごめんなさい」

「丁寧な感じがするから、
良いと思うよ」



そう言ってベランダの方に行くと、
「あっ!
ここ、内風呂があるんだ!」と嬉しそうに言って、
水栓をひねると湯気が沸き立った。


「水着持ってくればここでも入れたのにね?
大浴場だと、知らない人と裸で入ることになるから、
ダメだったんでしょ?
お湯、溜まったら、1人で入ると良いよ。
俺、外に出てるから」と、
私を気遣って言ってくれるので、
これは説明しないと…と思って、
震えながら水栓をひねって止めた。
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