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渇いた心に水を注ぐ
第4章 サードコンタクト〜真由子
「明け方になって、
家の電話が鳴りました。
当時、私は携帯を持つことを夫から禁じられていたので…。
胸騒ぎを感じながら電話に出たら、
無言でしたが、
夫からだと確信して、
『何処に居るの?
帰って来てください』って小さな声で言うと、
『もう、戻れないから。
愛してる。さようなら』って言って、
そのまま電話が切れてしまって、
折り返しても電話は繋がりませんでした。
朝になるまで眠れず、
着替えて連絡を待っていて…。
次の電話は警察からでした。
夫が殺人の疑いで逮捕されたというものでした」
圭人さんは、
「コーヒー、淹れ直そうか?
真由子ちゃん、お湯沸かしてくれる?」と言った。
私は頷いて、お湯を沸かす。
圭人さんは、またゴリゴリと豆を挽いてゆっくりコーヒーを淹れてくれる。
「少し冷めてから飲むかな?」と言って、テーブルにカップを置いて、
「辛い話だから、
もう良いよ?
俺、泣いちゃうから」と言った。
「嫌じゃなかったら、
聞いてください」
「判った」
と言うと、もう一度私をふんわり抱き締めてくれる。
「警察と検察側は、
夫はSM嬢とそういうプレイをして、
死んでも構わない、或いは死ぬかもしれないと判っていたのに、
そのようなことをしたっていう殺人罪の適用をと言ってて、
弁護側は、
女性も金品目的でそういうことをそれまでもしていて、
自分でも止めなかったと主張して、
過失致死、もしくは事故だと言ってたの。
あ、具体的に何をしてたかは、
怖いから私、聞かなかったの。
それで、私も証人として裁判に呼ばれて…。
家での男女の営みについてとかも訊かれて…。
弁護士さんからは、家でもそういう行為をしていたことも証言するように言われて…。
でも、私、怖いし恥ずかしくて、
上手く話も出来なくて…。
そしたら、妻に満足出来なくて、SM嬢に鬱憤ばらしで、
酷いことをして殺したんじゃないかって検察側が言って…。
でも、私がもっとその女性のことを調べてくださいと強く主張したら、
その女性に薬物の前科があることや、
その女性の内縁関係の人も薬物中毒だということが判って、
検死のやり直しを請求して、
死因が縛ったり首を絞めたりしたことではなくて、
薬物中毒による急性の心不全だと立証されて、
無罪になったんです」
そこまで話すと、私はまた震えてしまった。
家の電話が鳴りました。
当時、私は携帯を持つことを夫から禁じられていたので…。
胸騒ぎを感じながら電話に出たら、
無言でしたが、
夫からだと確信して、
『何処に居るの?
帰って来てください』って小さな声で言うと、
『もう、戻れないから。
愛してる。さようなら』って言って、
そのまま電話が切れてしまって、
折り返しても電話は繋がりませんでした。
朝になるまで眠れず、
着替えて連絡を待っていて…。
次の電話は警察からでした。
夫が殺人の疑いで逮捕されたというものでした」
圭人さんは、
「コーヒー、淹れ直そうか?
真由子ちゃん、お湯沸かしてくれる?」と言った。
私は頷いて、お湯を沸かす。
圭人さんは、またゴリゴリと豆を挽いてゆっくりコーヒーを淹れてくれる。
「少し冷めてから飲むかな?」と言って、テーブルにカップを置いて、
「辛い話だから、
もう良いよ?
俺、泣いちゃうから」と言った。
「嫌じゃなかったら、
聞いてください」
「判った」
と言うと、もう一度私をふんわり抱き締めてくれる。
「警察と検察側は、
夫はSM嬢とそういうプレイをして、
死んでも構わない、或いは死ぬかもしれないと判っていたのに、
そのようなことをしたっていう殺人罪の適用をと言ってて、
弁護側は、
女性も金品目的でそういうことをそれまでもしていて、
自分でも止めなかったと主張して、
過失致死、もしくは事故だと言ってたの。
あ、具体的に何をしてたかは、
怖いから私、聞かなかったの。
それで、私も証人として裁判に呼ばれて…。
家での男女の営みについてとかも訊かれて…。
弁護士さんからは、家でもそういう行為をしていたことも証言するように言われて…。
でも、私、怖いし恥ずかしくて、
上手く話も出来なくて…。
そしたら、妻に満足出来なくて、SM嬢に鬱憤ばらしで、
酷いことをして殺したんじゃないかって検察側が言って…。
でも、私がもっとその女性のことを調べてくださいと強く主張したら、
その女性に薬物の前科があることや、
その女性の内縁関係の人も薬物中毒だということが判って、
検死のやり直しを請求して、
死因が縛ったり首を絞めたりしたことではなくて、
薬物中毒による急性の心不全だと立証されて、
無罪になったんです」
そこまで話すと、私はまた震えてしまった。