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渇いた心に水を注ぐ
第4章 サードコンタクト〜真由子
「事件以来、家と夫の実家にはマスコミの方が押し掛けていたので、
私の実家から程近い今のマンションにひっそり住んでました。
実家には、実家側から圧力を掛けてくれたからなのか、
殆どマスコミの方は来なかったけど、
裁判の後にバイクで追い回されたこともあって…。
夫が釈放された時に、迎えに行こうと思ったけど、
両親にも夫のご両親にも止められました。
離婚するようにと言われて、
でも、自分が至らなかったせいだと感じたし、
夫婦になった以上、
添い遂げなければという気持ちもありました。
でも、そんな処がもしかしたら夫にとっては負担だったのかもしれません。
話し合いの為にうちに来ると言って、
あちらの家を出たけど、一向に来なくて…。
随分と離れた処で、
電柱に激突して…即死だったそうです。
自殺ではなく、スピードの出し過ぎで運転操作を誤ったということで、
事故として処理されました。
旧姓に戻ったけど、
実家の両親にあまりにも気を遣わせてしまうのも辛くて、
そのまま独りで暮らしてました。
引き篭もりみたいな状況の私を心配して、
父が私の母校で非常勤講師で仕事をすれば良いと話をつけてくれて。
多分、その仕事がなかったら、
今でも外に出ることも出来なかったかもしれません」


圭人さんは、ギュッと強く私を抱き締めてくれたけど、
多分泣いちゃってるみたいだった。

見上げようとすると、
「見ちゃダメ!」と言って、
もっと強く抱き締めて、
私の頭の上で鼻を啜っていた。


「俺…
自分のことも、酷い人生だなって思ってたけど、
真由子ちゃんのに比べたら…」と言いながら震えながら泣いているようだった。


「初めて誰かにこの話、したの。
してみたら少し落ち着きましたよ?
聞いてくれて、ありがとうございます」
と言って、私も泣きながら笑ってみたら、
額にキスをして、
「無理して笑わなくて良いよ」って言ってくれた。


「夕飯の時間まで、
ちょっと昼寝しようか?
腕枕してあげる。
それくらいしても良いよね?」と言って、
2人でベッドに横になって、
腕枕をしてもらう。
大きくて温かい身体に包まれて、
不思議と安心した気持ちでうたた寝をした。






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