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渇いた心に水を注ぐ
第5章 修羅場は突然に〜圭人
「やだ。
私、変な顔してるでしょ?
顔、見ないで?」と真由子ちゃんは俺の胸に顔をうずめる。


「ごめんなさい。
なんて酷いって思ったら泣いちゃって…。
奥様はどうして結婚したのかしら?
どうして浮気なんて?って思って、
圭人さんのこと考えたら涙出ちゃったし、
圭人さん、それでもやり直そうとしてる処が優しくてと思ったら、
なんだか愛おしくて笑い掛けたくて…」

そんな風に思ってくれる真由子ちゃんをみてると、
俺の方がもっと真由子ちゃんを愛おしいと思って、
抱き締めてしまう。


「真由子ちゃん、優しいな。
ダメだ。
俺、真由子ちゃんに惚れてしまった」


「えっ?」


「あんなに酷い目に遭ったのに、
優しくて、
可愛くて、
こうやって俺のことも考えてくれて…。
こういうのを一目惚れっていうのかな?」


ウサギのような赤い目をしてる真由子ちゃんの顔を覗き込む。
鼻の頭まで紅くなってて、
本当に可愛くて、
大切にしたいと思った。


「会ったばかりで、
こんなこと言うの、
信じられないかもしれないけど、
俺、心の底から真由子ちゃんとずっと一緒に居たいと思ってるよ?
でも、いきなりそんなこと言われても困るよね?
まだお互いのことも知らないし。
だから、ゆっくりお互いのこと、
知りたいな。
真由子ちゃんのペースで良いよ」

俺はそう言って額にそっとキスをした。


「あの…。
私…」


「ダメ。
すぐに答え、出さないで?
いきなりNOとか言われたら、
俺、ショックで泣くから。
ちょっとずつ、仲良くなっていって?
お願い!
取り敢えず、今夜はここまで!
布団にくるまって、
一緒に朝まで寝てくれる?
大丈夫!
俺、寝てるコを襲ったりしないから。
あ、あんまり説得力、ないかな?」と言うと、
真由子ちゃんはクスクス笑ってくれて、
俺の頬にそっとキスをしてくれる。


「ん。
お髭の感触が、変な感じ。
熊さんみたいね?
圭人さん、おやすみなさい。
私もね、
圭人さんなら一緒に居ても怖くないし、
なんだか安心出来るの。
だから…、
少しずつ、もっと圭人さんのこと、知りたいし、
もっと一緒に居たいな。
ホントよ?」と言って、
俺の胸の中で、
本当にスヤスヤ眠ってしまった。


俺もほんわかした気持ちで、
久し振りに誰かと一緒に眠った。
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