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渇いた心に水を注ぐ
第7章 誤解から妄想〜圭人
いつもの習慣で、
同じ時間に目が覚めた。


…酒臭いな。

そう思って、熱いシャワーを浴びて、
水をガブ飲みした。


鏡を見ると、
酷い顔をしていた。

目が腫れてる。
取り敢えず、伊達メガネを掛けてみる。


んー。
これは、飲酒運転になるかもしれないな。


そう思って、
大通りでタクシーを捕まえることにした。



仕事は何とかこなしてから店に戻って、
取り敢えず仮眠を取ることにした。



夕方、携帯が鳴って目が覚めた。

真由子ちゃんからだった。


「圭人さん?
鍵が掛かってるし、
ノックしたけど出なくて…」と言うので、
慌ててドアを開けに行った。


「あれ?
圭人さん、どうしたの?
具合悪いんですか?
お熱とかあるの?」と言って、
背伸びして額に手を当てようとする。


「ん。
いや、大丈夫だよ」


「声、ちょっと掠れてる?
昨日もお電話くれたでしょ?
でも、声が聴こえなくて…。
掛け直したけど繋がらなかったの。
大丈夫?
風邪ですか?」


俺はどこから話せば良いのか判らなくて、
黙り込んでしまう。


「体調、悪いようなら、
早く寝た方が良いですよね?
じゃあ、今日は帰りますね?」と言って、
そっと向きを変えようとするのを見て、
このまま帰してしまったら、
もう会えなくなるような気がして、
手を引っ張って抱き締めて引き留めた。


「真由子ちゃん。
昨日、渋谷に居たよね?
オトコと一緒に…」

「えっ?」

「あいつ、誰?」

「あの…同じ学校の先生です」

「男の先生とは話もしないって言ってたよね?」

「今回、初めてお話しました」

「仲良さそうだった。
肩とか抱かれてなかった?」

「えっ?
そんなことは…」

「見間違えかな?
その後、夜遅くに、
家にまで来てなかった?」

「送って頂きましたけど…。
圭人さん、見てたの?」

「うん。見てた。
渋谷で見た時から3時間以上、
一緒に居たの?」

「そんなに長くは感じなかったですけど…。
考えてみたらそうですね」

「あいつと寝たのか」

「えっ?」

「あいつが好きなのか?」

「圭人さん、何言ってるの?
高木先生は、奥様、居ますよ?」

「じゃあ、不倫なのか?」


俺はどうやら、泣いているらしかった。
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