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渇いた心に水を注ぐ
第7章 誤解から妄想〜圭人
「圭人さん、ちょっと落ち着いてください。
どうしたんですか?」


俺は真由子ちゃんのことを抱き締めながら泣いていた。


「渋谷で真由子ちゃんがイケメンと歩いてるのを見掛けて、
食事会切り上げて真由子ちゃんのマンションに行ったら、
同じオトコが真由子ちゃんを送ってるのを見て…
真由子ちゃん、そいつとデキてると思って…。
もうどうしたら良いか判んなくなって、
昨日は酒呑んで倒れるように寝た」と言うと、
真由子ちゃんはポカンとした顔をした後、
クスクスと笑い出した。


「圭人さんてば…。
なんか、可愛い」って言って、
俺をギュッと抱き締めて髪を撫でてくれる。


「今朝はちゃんとお仕事、
行けたんですか?」と更に訊かれて、
俺は鼻水を啜りながら、
頭をコクコクと縦に振った。


「圭人さん、お泊まりの支度は?
お仕事の道具とお着替え、
準備してください?」


「えっ?」


「誤解は嫌です。
ちゃんとお話、したい。
それに、
お試しでお泊まりするって言ってたでしょ?
今日を逃したら、
また来週の木曜日まで、
延期になっちゃいますよ?」


「ええっ?」


「どうしますか?
まだ、ここで、
来週までずっと誤解して妄想したまま、
泣いてますか?
それとも、私の処に来て、
ご飯とお風呂、ご一緒してから、
お話して寝ますか?」


真由子ちゃんの声を聞いてると、
悩んでた自分が馬鹿らしくなってしまう。


「ごめん」と言うと、
「ほら、支度してください?
車に積んで、
私の家に来てくれるんでしょ?」と言って、
頬にキスしてくれる。



俺は急いで着替えなんかをバッグに詰めて、
仕事道具をまとめた。


それで、母屋に居るグランマに声を掛けてこようとすると、
真由子ちゃんもご挨拶したいと言うので、
驚いてしまった。

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