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渇いた心に水を注ぐ
第7章 誤解から妄想〜圭人
「食事会終わって、ここに来たら、
真由子ちゃん、車で、送って貰ってて…。
なんか絡み合うようにしててさ」


「えっ?
そうでしたか?」

「運転席から出て来たオトコが、
なんか支えるようにしてて…」


「ああ…
アルコールで具合悪くなっちゃって…」


「アルコール?」


「薬品にアルコール成分が多かったのに気がつかなくて吸い込んでしまって、
具合悪かったんです。
それで、送って頂いて…」


「渋谷で見掛けてから3時間以上経っててさ。
俺、てっきりホテルに行ってたんだと思い込んで…。
店に帰って酒呑んでひっくり返ってた」


「圭人さん、私のこと、
信じてくれないの?」


「えっ?」


「付き合ってって言われて、
はいって答えたのよ?
それなのに、
他の男性とホテルに行くと思ったの?
お試しでお泊りに来てって、
私から誘ってるのに、
他の男性と…」って言いながら、
真由子ちゃんは泣いてしまっている。


「ごめん。
もう、俺、なんかヤキモチの塊になっちゃって…
どうかしてた。
でもさ、渋谷で肩を抱かれてホテル街方面だったし、
3時間とか、絶妙な時間だったし、
マンションまで送って来てて、
なんかわざわざ車から出て肩とか触れてたように見えたし…。
電話したけど、怖くて訊けなくて、
電話切って酒呑んで寝たんだ」


「ごめんなさい」


「えっ?」


「心配掛けたことについては、
ごめんなさい。
でも、昨日、アルコールで具合が悪くなった理由は、
圭人さんには内緒なの」


「えっ?
内緒って?
まあ、それは良いよ。
それより、俺の方がごめんなさい。
勘違いして、変な想像して。
真由子ちゃんを信じてないからじゃなくて、
俺、自分に自信なくて。
真由子ちゃん、
まだ、俺のものじゃないっていうか…」


「それって…
セックスしてないからってこと?」
と、俺を見て言う。


俺はしどろもどろになりながら、
「ん。
それもあるかな?
でも、大切にしたい気持ちもあるから」


「私…気になってることがあって…」


「何?」


「あのね…。
亡くなった夫の手帳を弁護士さんから渡されたの。
厳重に封をされていたけど…。
でも怖くて読んでなくて。
それをちゃんと読まないと、次に進めない気がしてるの」
と、真由子ちゃんは言った。
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