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整体セラピー華
第2章 掠める指先、整体セラピーと性感セラピーの狭間。
『ぇっ!もう30分近くオーバーしてますよ?』と遠慮がちに言う僕に対し、
『このコロナ禍で、平日の昼下がりは閑古鳥状態が日常なんです、それに偶然かもしれませんが、街頭でチラシを手配りする私と何度も遭遇したご縁も感じながら、実際こうしてお越し頂いた訳ですし、ご迷惑で無ければ私からのお礼だと思ってゆっくりして行って下さいね?それに常連のお客様の7割が男性なんですけど、概ね70歳以上の高齢者が多く、今ではコロナ禍の自粛要請と共に巣籠りされてるみたいで、ご覧の有り様なんです。お客様との交流とか会話も無い時間を多く過ごしながら、今日は若くて瑞々しい男性にお越しいただき、本当に嬉しかったから…』と幾分紅潮した頬を覗かせた彼女。
再び背中越しに受ける彼女の施術を脊椎に受けながら、経営状態をそれとなく伺う僕に、生活費やお嬢さんの学費も含め、店舗の家賃もご主人が得る収入で充分賄えているらしく、自身で負担するのは店舗の光熱費程度で、少しだけ切り詰めればやり繰り出来る額とも言い、
趣味だった自重ストレッチやヨガが高じ、元々興味を持っていた整体施術学を1年を掛けて専門学校で修得し、卒業と共に独立開業を勧められたのが切っ掛けだったと言い、単身赴任のご主人からも暇を持て余すくらいなら…。と後押しされたのに加え、一人娘のお嬢さんが関大に合格し、自分の元から関西へと巣立ったのも決めてだったと言う。
富裕層らしい暮らしぶりを屈託なく話す彼女に安堵しつつ、一瞥した壁時計が17:50分を回ろうとすると、窓越しの空は群青色と茜色の綺麗なグラデーションに染まり、残暑厳しい夏の日没時を告げていました。
『月曜日は決まって閑古鳥が鳴くほどなんです。向井さん、宜しければ是非また来院して下さいね?次回からは前もって来店時間を教えて頂ければ更に割引ますので…』と背中越しに聴く澄んだ彼女の声は何処までも甘く、帰り際に携帯番号の記された名刺を受け取ると、僕は『整体セラピー華』を後にしていました。
『このコロナ禍で、平日の昼下がりは閑古鳥状態が日常なんです、それに偶然かもしれませんが、街頭でチラシを手配りする私と何度も遭遇したご縁も感じながら、実際こうしてお越し頂いた訳ですし、ご迷惑で無ければ私からのお礼だと思ってゆっくりして行って下さいね?それに常連のお客様の7割が男性なんですけど、概ね70歳以上の高齢者が多く、今ではコロナ禍の自粛要請と共に巣籠りされてるみたいで、ご覧の有り様なんです。お客様との交流とか会話も無い時間を多く過ごしながら、今日は若くて瑞々しい男性にお越しいただき、本当に嬉しかったから…』と幾分紅潮した頬を覗かせた彼女。
再び背中越しに受ける彼女の施術を脊椎に受けながら、経営状態をそれとなく伺う僕に、生活費やお嬢さんの学費も含め、店舗の家賃もご主人が得る収入で充分賄えているらしく、自身で負担するのは店舗の光熱費程度で、少しだけ切り詰めればやり繰り出来る額とも言い、
趣味だった自重ストレッチやヨガが高じ、元々興味を持っていた整体施術学を1年を掛けて専門学校で修得し、卒業と共に独立開業を勧められたのが切っ掛けだったと言い、単身赴任のご主人からも暇を持て余すくらいなら…。と後押しされたのに加え、一人娘のお嬢さんが関大に合格し、自分の元から関西へと巣立ったのも決めてだったと言う。
富裕層らしい暮らしぶりを屈託なく話す彼女に安堵しつつ、一瞥した壁時計が17:50分を回ろうとすると、窓越しの空は群青色と茜色の綺麗なグラデーションに染まり、残暑厳しい夏の日没時を告げていました。
『月曜日は決まって閑古鳥が鳴くほどなんです。向井さん、宜しければ是非また来院して下さいね?次回からは前もって来店時間を教えて頂ければ更に割引ますので…』と背中越しに聴く澄んだ彼女の声は何処までも甘く、帰り際に携帯番号の記された名刺を受け取ると、僕は『整体セラピー華』を後にしていました。