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第1章 美魔女

シンポジウムまであと３日となったその日、加奈子と一緒に出席する筈だった教頭に身内の不幸ができ、出席出来なくなったのだった。

「他に出席したい先生はいませんか？」　

教頭が朝礼の席で教師達に聞いたのだが、皆面倒臭がって立候補しなかった。

「うーん、困りましたね」

教頭が頭を掻いていた。

「誰もいないなら、俺が行きますよ」

そう立候補したのは、体育教師の和田だった。

「ほう、和田先生が行って下さるんですね？助かります」

教頭は和田に何度も頭を下げていた。

加奈子は実は体育教師の和田が嫌いだった。

あまり同僚の悪口や誹謗中傷はしない加奈子だったが、こと和田に関してはあまりいい印象がなかったのだ。

それもその筈だった。

以前に言う事を聞かない生徒に体罰を加えてケガを負わせたり、女子トイレでの覗き疑惑が浮上したりと校内を騒がせていた教師なのだった。

覗き疑惑は生徒会から加奈子に相談があり、加奈子自ら調査したのだが、どうにも確証がつかめず、無罪放免となっていた。

日頃の言動も校内で問題になっており、粗暴な体育教師とのレッテルを貼られている男なのだった。

だが、他に立候補する者もおらず、和田の出席が決まったのだった。