この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
パートさんの頼み事 〜アイリスの色香〜【完結】
第5章 パートさんの明るいお手伝い
キッチンの上には昼間に食べたカップ麺の残骸と、
晩ご飯に作ったパスタの洗い物の大皿が散乱しています
それらをウスイさんはチラリと見ましたが、トクベツ何かを言うこともなく部屋の中に入ってきました
「コーヒーと炭酸と麦茶かあるけど…」
「俺、炭酸!」
「わたしはコーヒーかいいなぁ」
ボクはさっきパスタを食べたばかりだったので、食後のコーヒー
3本の缶を冷蔵庫から取り出します
「缶コーヒーが家に有るなんて贅沢ねぇ!
インスタント買っときなさいよぉ!」
ウスイさんは明るくダメ出ししてきます
「ええ? そんなのホットになるじゃん!?」
とバイト君が突っ込みます
仲が良いなぁ、このふたり
「あんがい綺麗にしてるのね?もっとモノが散乱してるかと思ってたわぁ」
でしょうね、
何日か前にサカタさんが掃除してくれましたから
そんな事は言えません
「そうかな?」とだけ答えます
そのあと、3人で職場のことをダラダラと喋ってました
クセのあるお客さんのこととか、
売り出し品の発注忘れでトラブルがあった、とか
当たり障りの無い話しです
30分くらい経った頃でしょうか
「アンタ、そろそろ時間じゃないの?」
「え?もう? ホントだ、俺そろそろ行きますわ」
とバイト君が立ち上がり、そのままウスイさんも立ち上がりました
ああ、ふたりとも帰るんだなと思い、玄関まで見送ります
「今から家庭教師のバイトなんスよ、じゃあお大事にぃ」
とバイト君はスニーカーを履いて出ていく
でもウスイさんは玄関まで彼を見送って
「気を付けんのよぉ!」と手をヒラヒラさせてます
ぼくはギョッ!として、心のなかで〈アンタも帰るんじゃないのかよッ!〉と突っ込んでいました