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パートさんの頼み事 〜アイリスの色香〜【完結】
第6章 罪悪感



すると





携帯がブブブブ、と震えています





電話です






相手はサカタさんでした







メールじゃなく、電話をかけてきたのです






「もしもし?」







「わたし、嫌ってなんかいないわよ?」







「え? ……でも」







「嫌われたのは私のほうじゃない?

 だって、わたし……帰っちゃったし」







「そ、それは、ボクが嫌われるような事を……



 勝手に抱き締めてしまって……



 そのまま、調子に乗って、



 触ってしまって……」









「………だから……




私が悪かったの……



拒んじゃって……



受け入れるつもりだったんだけど……



そのつもりで、あの日雨のなかそっちまで行ったのに……



やっぱり、怖くなっちゃって……」








電話の向こうでサカタさんの声がか細くなっています







「ボク、勝手なことしたから嫌われたのかと……」






「嫌いじゃないわ




 嫌いなひとにあんなことしないもの……」






手でシテくれた事を言っているのでしょう





「あ、誰か来そう! 切るわね?」




と言って電話が一方的に切れました





ふぅっと吐息が漏れました





どうやら喧嘩別れはしなくて済みそうです



でも、やっぱりここまで!て言われたような気がします




それは



仕方がない




何と言っても相手は職場のパートさんであり、ましてや人妻さんです



ボクのほうが欲望に負けて彼女を困らせてしまったのですから




安堵感




そして



喪失感





これで以前の関係に戻るだけです




なんとなく




心の何かが半分なくなってしまったかのように思え、テレビの声も聞こえなくなりました……




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