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第1章 『文香』

マスターは胸に垂れたヨダレを人差し指で撫でると、ゆっくりと胸から指を離し親指と擦り合わせた。
その指を文香の頬に擦り付け、そして、開いたままの文香の口の中をまさぐり始めた。

文香はされるがまま、口を開けて上を向いている。
顎と首が疲れていたが、それに耐えること以外の選択肢は無かった。

叩かれた事で「嫌だ」と思っていたはずなのに、胸の高鳴りは、ますます大きくなっていた。

それどころか、無意識にマスターの指に舌を絡ませている。
まるで、ペニスをそうするかのように、指を纏わりつかせ、吸い付いていた。

マスターは、ヨダレでヌルヌルになった指を離すと、何も言わずに、文香の舌へ自分の舌を絡ませ始めた。

「この女は苦痛や羞恥を快楽にする」
そう思ったのは、舌と舌が触れた時に文香が身体を痙攣させ軽く逝ってしまったからだ。
マスターは文香の表情をじっくりと眺めながら舌を絡ませていた。

文香の足元には小さな水溜まりができていた。
群青色のパンツは、いつの間にか無意識のうちに漏らしてしまった潮で濡れてしまい、黒く大きな染みを作っている。
太ももから足首まで、何本かの水線が照明に照らされ、キラキラと光っていた。