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駆け込んだのはラブホテル
第15章 入浴剤



 洗い場で倒れる桜木の姿がそこにはあった。



 もちろん服など着ていない。
向こう向きで半分うつぶせになっていたので、最悪の事態にはなっていなかったが、それでもその肌色の面積の広さに、守屋は一瞬目を奪われる。



 いや、そんなことを言っている場合ではなかった。



「桜木さん、大丈夫ですか!」

「すみません……」

 桜木は弱々しく返事をした。

「ちょっと、のぼせちゃったみたいで……少し休めば治ります」



 守屋は必死で頭をフル回転して、シャワーを手に取った。
お湯の温度を自分の手で調節し、少しぬるすぎるぐらいの温度にしてから、桜木の体に掛ける。



「冷たかったら言ってください」

 桜木は情けなく笑って、気持ちいいです、と答えた。



「すみません、気づかなくて……」

「いえ、私も言わなかったので」



 桜木の髪が洗い場の床に貼り付いていて、せっかく綺麗な髪なのに、と守屋はせめてその髪にも、ぬるま湯を当てる。


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