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駆け込んだのはラブホテル
第3章 秘密の共有
守屋は前傾姿勢を保ったまま、目だけで桜木を見た。
「……僕が男であることを考えに含めていますか」
守屋は、自分が岐路に立たされていることを感じていた。
桜木の返答がどうであれ、ふたりの関係性は今日を境に変わるだろうということを、守屋は覚悟した。
桜木は、守屋のことを、男とはいえ安全な男だと確信しているということか。
だとしたら、例えセクハラになってもその考えは正さねばなるまい、と守屋は考えを巡らす。
それはあまりに世間を知らなさすぎるし、失礼すぎるし、実際、一晩耐え切れる自信は、正直、ない。
もし、自分が男として見られていないということであれば、それは、これまで守屋が桜木に対して密かに抱いてきた淡い憧れに、終止符を打つときだった。
桜木の答えは。
「守屋さんが女性と付き合ったことがないというのは、興味がないわけじゃないんですね」
質問返しだった。
「……単純にモテなかっただけです」
「えー、守屋さん、いいと思うけどな」
桜木のそれを、社交辞令だと守屋は自分に言い聞かせて、動揺する心をぐっと捻じ伏せる。
「それで、どうするんですか」
やっぱり怖いのでやめておく、という選択をするのは、女性としては当然のことだと、教えておかなければいけない。