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駆け込んだのはラブホテル
第3章 秘密の共有



 のに。



「でも、守屋さんなら大丈夫ですよ」



 桜木は言う。

「それは、」



 僕が大丈夫な人だと思ってるんですか、
それとも桜木さんが、僕なら何をされても大丈夫なんですか。



 と、守屋は聞くことができなかった。

 そこまではっきりと、答えを出す勇気が、なかった。



 守屋は、今まで桜木の前で、いい先輩を演じてきたつもりだった。
できる限り優しくしたかったし、桜木が楽しく仕事ができるように、この二年間、手を尽くしてきたつもりだった。

 勝手に異性として意識していることがバレて、拒否感や恐怖を抱かせるなど、言語道断だった。



 守屋はゆっくりと息を吐き、吸い、そしてもう一度吐く。そして、改めて、言葉を選ぶ。

「桜木さんは、男性とお付き合いしたことがないそうですが……大学は、共学でしたよね」

「はい、単純にモテなかっただけです」

 桜木は、先ほどの守屋の言葉を引用した。

「桜木さんがモテないということはないでしょう。告白されたこととか」

「それはありますけど……好きな人にはモテなかったんです。残念ながら」

 全く恋愛に疎かったというわけではないらしい。


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