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駆け込んだのはラブホテル
第4章 「水着よりは守備範囲広いです」
「んー、水着よりは守備範囲広いです」
そういう問題じゃない!
と叫び出したい衝動を抑え込み、守屋はもう何も考えまいと桜木に背を向けてその場にしゃがみ込む。
心臓が爆発しそうに脈打っていた。
同じように、下半身の中心で、欲望の塊がはちきれんばかりにスラックスを突き上げていた。
もしかしたら、桜木に気づかれたかもしれなかった。しかし、そんな姿を見せられて、勃たない方が無理だろう。
「それで、どうしたんですか、守屋さん」
「いえ、あの、その、ウーロンハイがないそうで」
「そうですか。じゃあ、チューハイならなんでもいいです」
「わかりました……」
こんなに精神力を使う会話は、今までではじめてだった。
「私、お風呂に戻ってもいいですか」
「戻ってください。ぜひ。一刻も早く」
何ですか、それ、と不満げに言う桜木は、天然でやっているのか、それとも、わかって煽っているのか。
風呂場のドアが閉まる音がして、シャワーの音が再開してようやく顔を上げた守屋は、しばらく放心していた。
桜木が風呂から出てくる前に、一回トイレで抜こう。
でないと、本当に。