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駆け込んだのはラブホテル
第6章 寝顔に我慢できなくて



「……桜木さん」



 反応はない。

 いや、



「起きてます?」



 桜木の喉が上下するのを守屋は見た。

 もう一度、起きてますか、と確かめようとしたが、守屋にそこまでの勇気はなかった。
守屋は、人は寝ている間唾を呑み込まないということを知っていた。

 守屋は自分のペニスから手を離した。
シーツにその手の甲をついて体を支え、桜木を跨ぐようについていたほうの手を、桜木に触れないように、恐る恐る、引き上げ――



 ることができなかった。

 眠っていたはずの桜木が、守屋の袖の端を掴み、それを妨げていた。



「なん、で」



 守屋の呟きに、桜木の指が、ぎゅっと守屋の袖を引く。


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