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駆け込んだのはラブホテル
第8章 満員電車は不可抗力?
これ以上押し込まれたら、桜木に、触れてしまう。
少し汗ばんだ桜木の髪から、昨夜のシャンプーの香りがした。
それから、例に漏れず、桜木自身の、におい。
昨夜、この香りを嗅ぎながら、
などと考えてはいけない。
「大丈夫ですから」
守屋の思考が悪い方向へいきそうになったのと、桜木が、バッグを持ったのと反対の手で守屋のベルトの端を摘まんで、ついと引くのが同時だった。
「……あっ」
無理だった。
守屋はとうとう肘を折った。
桜木が、守屋の胸に、擦り付けるように顔をうずめた。
駄目だ、とわかっていながら、自分の胸より少し下の位置に、柔らかいクッションが押し当てられていることを、守屋は嫌でも意識してしまう。
桜木は守屋のベルトを引いた手を、離すどころか守屋の腰に回した。
動き出した電車の振動で、守屋は血液の集まり出した自分の下半身が、桜木の下腹部に擦れるのを、気持ちいいと感じてしまった。
電車が揺れているのだ。自分が揺れているのではない。
駄目だ駄目だと言い聞かせるのに、守屋の下はどんどん膨らんでいく。