この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
駆け込んだのはラブホテル
第9章 帰りたくないと言ってくれ
しかし、守屋は言った。
「桜木さんは、どうぞお気になさらず。僕は、適当にコンビニまで走って傘買います」
「そんな……だったら、コンビニまで、傘、入っていきますか?」
この期に及んで、桜木は、そんな提案をする。
「……いえ、それでは桜木さんが濡れてしまうので。荷物も多いですし」
コンビニと言ってもそこそこ遠い。
駅とコンビニが併設されているような東京都心とは訳が違う。
「荷物より、守屋さんが風邪を引くほうが困ります」
「幸い今日は金曜日ですし、週末寝てたら何とかなりますよ」
「風邪引くこと前提ですか」
桜木が、ちょっと笑った。
今日はじめて笑顔を見た気がして、守屋の胸が痛んだ。