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駆け込んだのはラブホテル
第11章 人生初デート
二人は昼ごはんを食べて、映画を見て、お茶をして、軽くウインドウショッピングをした。
守屋は緊張しっぱなしで、喉を通るものはろくに味がしなかったし、映画の内容もさっぱり頭に入ってこなかった。
ただただ、桜木が隣にいてくれることが幸せで、顔がにやけないように取り繕うのに精一杯だった。
桜木に認めさせる、桜木を落とすつもりで臨んだのに、自分が楽しむだけで、気の利いたことも言えないし、優しくする方法もわからない。
せめて食事代や映画代を守屋が持とうと考えていたのも、桜木に止められて、きっかり自分の分を支払われた。
休憩とトイレのタイミングに気を遣う以外に、何をしたらいいかわからないうちに、夜になり、二人はレストランに入った。
「予約しておいてくださったんですね」
桜木は、ありがとうございます、と笑う。
今日が終わる。
「いえ、別に」
大した台詞も出てこない自分に、守屋はそろそろ腹が立ってきた。
「今日、どうでした」
守屋は憔悴しきってそう聞いた。これで終わりかもしれないと思っていた。
「そうですね」
桜木が斜め上を見る。
その答えを、聞きたくないと思った。