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駆け込んだのはラブホテル
第13章 はじめての



「襲わないでくれてよかったかも。私、守屋さんにちゃんと大切にされてるって思ってる」

「……できてないよ」



 寝ている女の子をオカズに隣で自慰をするのは、普通に、アウトだろう。



「私がいいって言ったんですよ」

「……そうだったっけ」



 もう、何が何だかわからない。守屋はどうでもよくなって、桜木の唇に、啄むだけのキスをした。



「触ってもいいですか」

 鎖骨の更に下に、手を近づける。桜木が、電気消して、と小さくねだるので、守屋は桜木に覆い被さったまま枕元に手を伸ばし、部屋の明かりを常夜灯にした。



「もっと暗くなりません?」

「そしたら、見えなくなっちゃいますよ」

「見えなくなってほしいから言ってるのに」

「……俺は、見たいんだけど」

 桜木が不服そうに黙った。



「……わかりました。我慢します」

 守屋がすぐに折れた。
常夜灯も消し、部屋は闇に包まれた。
明かりといえば、ライトの位置を示す夜光塗料だけになった。


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