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駆け込んだのはラブホテル
第13章 はじめての

「言いづらいかもしれないけど、だいじなことだから答えてほしいんだけど」
「……はい」
「桜木さん、自分でするとき、指とか挿れる? するなら、俺に手で教えてくれてもいい」
しばらく沈黙があった。それから、桜木が、渋々といった様子で答えた。
「あの……私……ないです」
「指じゃなくても、道具とか」
「ないです……」
だったら、電気つけないとちょっと怖いな、という判断に、ただ電気をつけたいという自分のエゴがどれくらい入っているかと言うと。
「ごめんなさい。面倒ですよね、こんな女」
声のトーンが低くなる桜木に、守屋は上半身を上のほうに運んで、桜木の頭をくしゃりと撫でた。
「何言ってんの。思ってないよ」
「本当に……?」
ほんの少しだけ声を明るくした桜木に、
「俺は今、電気つける口実あってラッキーと思っている」
「……馬鹿っ」
守屋を押しのけようとした桜木の手を取った。
「桜木さん」
「……はい」

