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君と偽りのドライブに
第22章 2‐11:はじめてを君に



 ぐりぐりと私に深く突き立てる哲弥は、眉間に皺を寄せていて、汗が彼の頬を一筋流れるのが見えた。



「てつ、や、」

 息切れしながら何とか彼の名を呼ぶと、

「ごめん……俺ぜんぜん優しくできない……」



 賢者タイムに入った途端にがっくりと項垂れる彼がそこにはいた。



「そんなことないよ」

 私が彼の頬を撫でると、彼がゆっくり顔を上げる。

「優しくしようとしてくれてありがとう」

「有紗……」



 哲弥が緩慢な動きで私の腰を誘導し、私は最後の体力を振り絞って彼を自分の中から引き抜いた。



 中腰の私を、哲弥が抱き寄せる。

「有紗、気持ちよかった?」



 彼のおなかは濡れていた。それは私がそうしてしまったもので。



「……うん」

 恥ずかしかったけれど、私は短くそう答えた。

「よかった」



 私の足の間から立ち上がった哲弥は、ゴムだけ雑に外すと、自分を拭う前にティッシュを取ってきて私の汚れた部分を拭いた。



「いいよ、お風呂入るから」

「……一緒に入る?」

 彼からの提案に、それもあり、と答えようとしたところで、



「……ごめん、やめとく」



 提案した本人から撤回された。


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